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【製造業で情報発信をするメリット】採用・営業・信頼づくりに効く5つの理由と始め方

2025.06.19
豆知識

第1章:なぜ今、製造業が情報発信を始めるべきなのか?

近年、多くの製造業の現場で、「情報発信」がにわかに注目されるようになってきました。従来の製造業といえば、“黙々とものづくりに打ち込む”というイメージが強く、営業活動も展示会や既存のネットワーク中心。あえて発信しなくても取引が成り立っていた時代が長く続いてきました。しかし、今の社会やビジネス環境は大きく変わり、情報発信を「しない」ことが逆にリスクとなり得る時代に突入しています。

 

その背景には、いくつかの大きな時代の潮流があります。

 

まずひとつは「人材不足と採用の難化」です。特に若年層の人口減少や、ものづくり離れが進む中で、「製造業で働きたい」と思ってもらうこと自体が難しくなっています。応募者が企業選びで重視するのは、「その会社がどんな仕事をしているのか」「どんな人たちが働いているのか」「どんな価値観を大事にしているのか」といった“見える情報”です。採用市場において、情報発信はまさに企業の「入り口」になる存在。発信のない企業は、それだけで候補者からの選択肢に入らなくなってしまうリスクを抱えています。

 

次に、「取引先や顧客との接点がオンライン化していること」も大きな要因です。かつては商談や展示会を通じた“対面のつながり”が主流でしたが、コロナ禍をきっかけに、顧客の情報収集の場は大きくオンラインへシフトしました。製造業の技術力や強みを知ってもらうには、まず「見つけてもらうこと」が前提になります。特にBtoBの世界では、発信していない会社は“存在しないのと同じ”という厳しい現実もあるのです。

 

さらに見逃せないのが、「共感や信頼の構築が求められる時代になったこと」です。価格やスペックだけで差別化が難しくなった現在、「この会社となら一緒に良いものが作れそうだ」「誠実に付き合ってくれそうだ」という“人としての信頼感”が大きな判断材料になっています。自社の理念や日々の取り組み、社員の声を発信している企業は、それだけで透明性と信頼性が高く映りやすくなるのです。

 

もちろん、製造業が情報発信をするには独特の難しさもあります。たとえば、「何を発信すればいいかわからない」「技術的すぎて一般の人に伝わらない」「そもそもそんな時間がない」といった悩みも多く聞かれます。しかし、これらのハードルを乗り越えるための工夫や成功事例も、すでに少しずつ現れ始めています。

これからの製造業は、単に「良いものを作る」だけではなく、「良いことをしていることを伝える」力も求められます。情報発信は、決して華やかなマーケティング活動ではなく、むしろ“ものづくりの真面目さ”をまっすぐ伝える手段。つまりは、今の時代における“信頼される製造業”への第一歩なのです。

 


 

第2章:製造業が情報発信を行う5つのメリット

製造業が情報発信を行うことには、数多くのメリットがあります。とはいえ、「うちはBtoBだから発信しても意味がないのでは?」という声も少なくありません。しかし、実際にはBtoB企業こそ、発信の影響力がじわじわと効いてくるケースが多く、「発信していて良かった」と実感する企業が増えています。ここでは、特に重要な5つのメリットについて解説します。

 

1. 採用活動に強くなる

最も大きな効果のひとつが、「採用」です。中小製造業では、知名度不足が原因で応募が集まらず、「求人を出しても応募ゼロ…」という悩みを抱える企業も少なくありません。そんな中で、自社の仕事風景や社員の声、製品へのこだわりなどを発信している企業は、応募者から「会社の雰囲気がわかった」「ここで働くイメージが持てた」と言われるようになります。SNSやブログを活用して情報を届けることで、求職者との距離を縮めることができるのです。

 

2. 顧客や取引先からの信頼を得やすくなる

製造業では、信頼関係が非常に重要です。特に新規取引を検討している顧客にとっては、「どんな会社なのか?」「どんな製品を作っているのか?」「信頼して任せられるか?」といった情報を事前に調べたいというニーズが高まっています。公式サイトやブログ、SNSなどで発信をしている企業は、そういったニーズに応えやすくなり、信頼されやすい存在になります。情報が豊富なだけで、「安心できる会社だ」と思ってもらえるのです。

 

3. 自社の技術や強みをブランディングできる

製造業には、外にはなかなか伝わらない技術や工夫が数多くあります。しかし、情報発信によってそれを“言語化”し、社外に伝えることで、ブランド力につながります。たとえば、「うちは特殊な溶接技術に強い」「短納期対応に自信がある」といった強みも、発信しなければ知らせることはできません。逆に言えば、発信することで「それを求めていた!」という企業や技術者から声がかかる可能性もあります。

 

4. 営業活動の支援になる

営業担当者にとって、情報発信は強力な支援ツールになります。たとえば、ブログやSNSで製品事例や工場の様子、技術の特徴を紹介しておけば、「まずはこのURLをご覧ください」といった形で事前説明ができます。さらに、営業先の担当者が社内で稟議を通す際にも、しっかりとした発信がある会社であれば社内説得がしやすくなります。発信は、営業効率の向上にもつながるのです。

 

5. 思いがけないパートナーや引き合いが生まれる

情報を発信することで、まったく予想していなかった相手から声がかかることがあります。異業種連携のきっかけになったり、新しい製品開発の協力企業が見つかったり、地域の大学や研究機関との連携の扉が開いたりと、可能性は広がります。発信が「偶然の出会い」を生むという点も、無視できないメリットです。

 

これらのメリットは、すぐに効果が見えるものばかりではありません。しかし、中長期的に見ると「会社の土台を強くする」効果が確実にあります。特に今後、採用・営業・取引先開拓といった企業活動のすべてが、ますます「ネットで見えるかどうか」に影響を受ける時代です。発信は、製造業にとってもはや選択肢ではなく、“必要な企業活動の一部”と言っても過言ではありません。

 


 

第3章:うまくいかない会社にありがちな失敗例

「製造業も情報発信が必要だ」と聞いて、SNSやブログを始めたものの、途中で更新が止まってしまったり、期待したような反響が得られなかったという話は少なくありません。実は、情報発信がうまくいかない企業にはいくつかの共通したパターンがあります。ここでは、そうした“つまずきポイント”を整理しながら、失敗を防ぐためのヒントを紹介します。

 

1. 継続できず、発信が止まってしまう

最も多い失敗が「続かない」ことです。最初は意気込んで始めても、日常業務が忙しくなると、つい後回しにされてしまい、気がつけば数ヶ月更新が止まっていた…というパターン。これは製造業に限らず多くの企業に共通する課題ですが、製造業の場合、「誰がやるのか」が曖昧なままスタートしてしまうケースが特に目立ちます。

この問題を防ぐには、「発信を仕事として正式に位置づける」ことが大切です。例えば週に1回、1時間だけでも発信に関する打ち合わせや作業時間を確保する、担当者に明確な役割と権限を与えるなど、会社として“やる気”を見せることが重要です。また、最初から「完璧な記事を出そう」とせず、小さくても無理なく続けられるスタイルを選ぶのもポイントです。

 

2. ターゲットが不明確で、誰に向けた情報かわからない

「うちの技術を知ってほしい」「もっと会社のことを広めたい」という気持ちはとても大切です。しかし、その情報が「誰に向けたものなのか」が明確でないと、結果的に誰にも響かない発信になってしまいます。たとえば、求職者向けなのか、取引先なのか、同業者なのかで、伝えるべき内容や言葉選びはまったく変わってきます。

失敗しがちな企業は、読み手の顔が見えていないまま発信してしまいがちです。効果的な発信には、まず「誰に読んでほしいのか?」をはっきり決めること。そして、その人が「どんなことに困っているか」「何に関心があるか」を想像して、そこに応えるような形で発信することが重要です。

 

3. 「専門的すぎて伝わらない」問題

製造業の情報発信でよく見られるのが、内容があまりにも専門的になりすぎてしまい、読み手に伝わらないというケースです。自社の技術に誇りを持っていることは素晴らしいですが、あまりに専門用語ばかりだったり、社内では常識でも外部の人には伝わらない文脈で書かれていたりすると、読者は置いてけぼりになります。

発信は、あくまで「相手に伝えるためのもの」。専門的な内容を扱う場合も、図や写真を多めに入れる、なるべく日常の言葉に置き換える、比喩を使ってイメージしやすくするなど、工夫が必要です。逆に言えば、難しいことを“わかりやすく伝える力”こそが、技術力の高さを証明する手段にもなり得ます。

 

4. 社内の温度差が大きく、孤立してしまう

発信担当者が1人で抱え込み、社内からの協力が得られないというケースも、失敗の大きな要因です。「そんなのやってる暇あるの?」「うちには関係ないでしょ」といった声にやる気を削がれてしまうこともあるでしょう。しかし、情報発信は“会社全体の取り組み”であるべきです。

現場の声や写真、設計者のこだわりなど、情報発信に必要なネタは現場にあります。社内で小さくても「発信の輪」をつくり、協力してくれる仲間を増やすことが、継続と質の向上につながります。

 

情報発信は、やればすぐ結果が出る魔法のような手段ではありません。しかし、失敗しがちなポイントをあらかじめ理解し、工夫して取り組むことで、確実に成果を積み上げていくことができます。重要なのは、「何を発信するか」だけでなく、「どう発信するか」「どう続けるか」。つまずきを回避しながら、自社らしいスタイルを築いていきましょう。

 


 

第4章:忙しくてもできる!製造業の現場で続けるための工夫

「情報発信が大事なのはわかった。でも、毎日納期に追われていて、とてもそんな時間はない…」
これは製造業の現場でよく聞く本音です。特に少人数の現場では、情報発信に割けるリソースが限られており、「やりたくても手が回らない」という状況に陥りがちです。しかし、情報発信は“やるか・やらないか”の二択ではなく、“どうやったらムリなく続けられるか”を工夫することがカギになります。ここでは、現場が忙しくても情報発信を継続するためのヒントをご紹介します。

 

1. 「担当者1人に任せない」体制づくり

よくあるのが、「広報担当者」や「総務の○○さん」など、1人の社員に情報発信を丸投げしてしまうケースです。こうなると、担当者が忙しくなるたびに更新が止まり、結局続かないという結果になりがちです。
情報発信は“チーム戦”であるべきです。たとえば、「現場で撮影」「技術解説は設計担当」「文書化は事務スタッフ」といったように、役割を分担することで、1人の負担を大幅に軽減できます。さらに、月に1回でもチームで打ち合わせを設けることで、社内の関心や協力意識も自然と高まっていきます。

 

2. 「ネタを集める仕組み」を仕込む

「ネタがないから更新できない」という悩みもよくあります。しかし、実際は“ネタがない”のではなく、“ネタとして拾っていない”だけというケースが多いです。たとえば、「新しい設備を入れた」「社員旅行があった」「納期のピンチを乗り越えた」など、日々の中に伝えるべきエピソードはたくさんあります。

これを拾い上げるために、例えば「ネタ投稿ボックス(紙でもチャットでもOK)」を作ったり、「今月の発信ネタを3つ書き出す」会議を設けたりと、ネタが自然に集まる仕掛けを設けるのがおすすめです。また、現場の社員から「〇〇係」など役割を名付けて協力を仰ぐのも一つの方法です。

 

3. 「フォーマット化」で時間を短縮する

毎回ゼロから記事を考えるのは時間がかかります。そこで有効なのが「発信の型=フォーマット」を用意しておくことです。たとえば…

  • ・製品紹介のテンプレート:「製品の概要 → 特徴 → 用途 → お客様の声」
    ・社員インタビューのテンプレート:「名前 → 担当業務 → やりがい → 目標」
    ・現場紹介:「〇〇部の1日 → 使っている機械 → チームの雰囲気」

など、ある程度の型を持っておけば、取材や執筆の手間を大幅に減らせます。さらに、見る側も毎回の発信に“安心感”を持てるというメリットがあります。

 

4. 写真や動画を味方につける

文章を毎回しっかり書こうとすると、それだけでハードルが上がります。そこで頼れるのが写真や動画です。たとえば、現場での作業風景や、製品ができあがる様子などをスマホでサッと撮ってアップするだけでも、立派な情報発信になります。

写真には「言葉以上の説得力」があります。「現場が清潔で整っている」「社員が真剣に作業している」などの印象が伝わりやすく、採用や営業にも好影響をもたらします。特別な編集は不要。スマホ1つで“見せる発信”ができる時代です。

 

5.「完璧を目指さない」マインドの大切さ

最後に、もっとも重要なのは「完璧を求めないこと」です。完璧な文書、完璧な写真、完璧なタイミング…それらを追い求めすぎると、結局なにも出せなくなってしまいます。
発信においては、「継続こそが価値」です。多少ラフでも、等身大の会社の姿をこまめに届けていくことが、読者にとっては“信頼感”に変わっていきます。

 

情報発信を継続するためのポイントは、「仕組み化」と「社内の巻き込み」、そして「ハードルを下げる工夫」です。製造業の現場は忙しくて当然。その中で“無理せず・でもやめない”工夫を積み重ねていくことが、結果的に会社の力になっていきます。

 


 

第5章:情報発信、まず何から始めればいい?最初の一歩を踏み出す方法

「情報発信が大事なことは理解できた。でも、じゃあ具体的に何から始めればいいの?」
そんな疑問を抱えている製造業の担当者は多いと思います。情報発信は、確かに大きな取り組みに見えがちですが、はじめの一歩は意外とシンプルです。ここでは、「発信を始めたいけど手が止まっている」方向けに、実際に動き出すための考え方とステップを紹介します。

 

1. 「目的」を明確にする

最初に必要なのは、「なぜ情報発信をするのか?」という目的の明確化です。目的が曖昧なまま始めてしまうと、内容に一貫性が出ず、継続も難しくなってしまいます。

たとえば、

 

  • ・採用につなげたいのか
    ・既存顧客との信頼を深めたいのか
    ・新しい取引先との出会いを増やしたいのか

 
目的によって「誰に」「どんな情報を」「どう届けるか」が変わってきます。社内で共有しておくことで、関係者の理解と協力も得やすくなります。

 

2. 「誰に向けた発信か」を決める

目的が決まったら、次に考えるのは「誰に届けたいか」です。これはマーケティング用語でいう「ペルソナ設定」に近い考え方です。たとえば、次のような人物像を想定します。

     

  • ・「工業高校を卒業して初めての就職を探している18歳」
    ・「自社製品のOEM先を探している設計担当者」
    ・「中小製造業と連携したいと考えている大学研究者」

 
届けたい相手が明確になると、自然と発信内容の方向性も定まってきます。読み手が興味を持ちそうな話題や言葉遣いを意識できるようになるのです。

 

3. 小さく始める媒体を選ぶ

いきなり本格的なホームページリニューアルやYouTubeチャンネル開設など、大がかりなことに挑む必要はありません。むしろ、最初は小さく始めて、成功体験を積み重ねることが大切です。

おすすめは以下のようなスタート例です。

     

  • ・会社の公式ブログを1ヶ月に1本だけ更新してみる
    ・採用ページに「社員紹介コラム」を追加する
    ・LinkedInやX(旧Twitter)で週1回、製品の豆知識や現場の工夫を投稿する

 
どれも「スモールスタート」が可能で、結果が見えやすく、振り返りもしやすい点がメリットです。

 

4. 社内で「発信していい空気」を作る

情報発信が社内に根づかない理由のひとつに、「こんなこと発信していいの?」という心理的ハードルがあります。
担当者だけが頑張っても、現場の協力が得られなければネタも出ず、続けるのが難しくなります。

そのためにはまず、経営層や現場リーダーから「発信は大事」「小さなことでもいいから、ぜひ協力してほしい」というメッセージを出してもらうのが効果的です。発信を「一部の人の余計な仕事」ではなく、「会社の取り組みの一部」として認識してもらうことが重要です。

 

5. 成果を「見える化」して振り返る

せっかく始めた情報発信も、「効果があるのかどうか分からない」と感じると、続けるモチベーションが下がってしまいます。そこでおすすめなのが、「小さな成果を見える化して、社内に共有する」ことです。

たとえば、

 

  • ・投稿から○日以内に〇件の問い合わせが来た
    ・応募者の9割が「会社ブログを見て応募した」と言っていた
    ・Webアクセスが月に○○%伸びた

 
こうした数字や声を定期的に社内で共有することで、取り組みの価値が実感されやすくなります。周囲からの理解と応援も得られやすくなり、社内文化として定着していく可能性が高まります。

 

情報発信は、特別な技術や専門知識がなくても始められます。大切なのは、「完璧を目指さず、小さく始めて、社内とともに育てていく」という姿勢です。最初の一歩を踏み出すことで、会社の未来が確実に動き出します。製造業だからこそ伝えられる価値を、発信という形で世界に届けていきましょう。